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旅日記

09/09/18 1日目 《羽田→礼文島》 思い立って礼文島上陸

礼文島を選んだ理由

なぜ、北海道、それも礼文島へ行きたくなったのかを話そうとすると、高校生の頃作っていたサウンドノベルについて触れないと。
僕は当時「風と終わらない旅」という伝奇物の物語を書いてました。ある温暖な気候の島を舞台に、島に風を吹かし続ける少女と、唯一彼女を「見る」ことができる少年にまつわるお話。そう。島を舞台にしたサウンドノベルだったので、背景画像としていろんな島を写した写真を探す必要があったんです。そこで沢山のサイトを巡っている内に出会ったのが礼文島でした。
礼文島
photo by 風のおひるね ©しっぽしゃっぽ
一度その丘の写真を見てから、忘れることは出来なかった。

かれこれ6年。ようやく行ける目途がついたのが8月のこと。8月は山形に免許合宿に行き、9月11日は黒の饗宴Liveに出演。バイトやら雑務やらを何とか調整し、空いた日取りが18日から21日のシルバーウィークでした。この旅行記は、何も予約せず、荷物だけまとめたのち18日朝に羽田へ出発するところから始まります。

ちなみに、entropiaを昔から知っている人は、このサウンドノベルの特設サイトをちらっと見たことがあるかもしれない。あのサイトに載ってた画像が礼文島の風景でした。

いざ羽田へ

稚内行はANAのみ、1日2便。朝出かける前にPCで空席を確認。
横浜に着いたらYCATへダッシュ。スーツケースを引きずりポルタを駆け抜けた。空席確認しスカイメイト(このときは\10,000でどこでも行けた)で即購入。帰りの便はどうするのって? 今は考えない。
僕:「9:40発稚内行、スカイメイトで」
ANA:「…残席わずかとなっております。お取りできないかもしれませんが、リクエストしてみます」
僕:「お願いします」
金曜朝便でほぼ満席とか、さすがシルバーウィーク。
(※ただしこの日は金曜日なのでまだシルバーウィークの前日)
もしこの便に乗れないと午後便で羽田を発つことになり、するとフェリーが間に合わなくなって稚内での一泊が決定してしまう。今日中になんとか礼文島に渡りたい。



……

………

航空券
ANA:「はい、お取りできました。28D席になります」
よくやったANA!
幸先のいいスタートである。
YCATの自動ドアをくぐると目の前が羽田行きの連絡バス乗り口となっている。
目にとまったオレンジ色のバスに乗る。Airport Limousineで有名な京急空港バスだ。スーツケースと天体望遠鏡をトランクに詰めて車内へ上がる。なかなかいい乗車率だ。お客さんはビジネスマン7割、学生旅行グループ2割、一人旅1割、そんなところ。学生グループは沖縄行きチケット持ってた。リア充(^ω^)
羽田空港って素敵
25分ほどで羽田到着。ターミナルは超かっこいい。天井は高くて気持ちいい。
空港のチャイムってわくわくするよね。
スマートにスーツケースを運び、慣れた手つきで搭乗手続きするビジネスマン。
飛行機にわくわく胸を弾ませる男の子を連れた家族。
旗を持った添乗員についていくご年配の団体客。
お客様~と叫びながら走り回っている空港職員の女性。
手荷物検査場の向こう側に行った彼氏にいつまでも手を振る彼女さん。
この電光掲示板もそそる
出発までそこまで時間もないので、カウンターでスーツケースと天体望遠鏡を預ける。
天体望遠鏡の持ち運びケースは実はホビー用ライフルケースなのでANAの人に怪しまれる。
「これは何ですか?」 「あ、天体望遠鏡です」 「ああw」
このときじゃないけど「ギターですか?」と訊かれたこともあったな。おしいw
手荷物検査場

手荷物検査場を抜けた先の、出発待ちロビーの雰囲気もたまらない。
搭乗口までの長い道を動く歩道も好きだ。上の動画はそれに乗りながら撮ってみた。

ボーディングブリッジを通り機体に入ると本当に満席だった。危なかった。
座席に着いて久しぶりの飛行機にwktk。なんてったって高校の修学旅行以来だ。
機内をじろじろ見ているとCAさんが
「まもなく離陸ですので、シートベルトを締めて下さい」
と言って回り始めた。
ブリッジと切り離され、滑走路へ。稚内行きANAいよいよ離陸。
「当機は管制官より、5番目の離陸を指示されているため、あと10分ほどお待ちください」
やっぱり羽田の空は混んでるんだなぁ。
加速。加速。飛翔!
さらば、東京!


空弁はおまかせ御膳
空弁はおまかせ御膳
"空弁"というのを一度やってみたかったので思わず羽田の売店で購入してました。
えび天がGood。高度3万mで飲むオニオンコンソメスープも最高に美味しかった。
あとCAさんが美人で目の保養に(´∀`)

飛行中に今日のスケジュールを確認する。
まず、この飛行機は11:30に稚内空港に着く。
バスに乗り換えて稚内港へ向かう。適宜、昼食を済ます。
港に着いたら15:25発のフェリーに乗船し17:20礼文島香深(かふか)港着。
それまでに携帯でなんとか今晩の宿を決める。

計画的なようで、場当たり的な気もするスケジューリング。
もちろん、今日だけでなく明日以降の宿も決まっていない。
だがそれがいい。一人旅の良さはむしろそこにある。
グループになると、がちがちのスケジュールになって各々体験したいことが違うから細切れになって結局消化不良になったりして、僕の場合わりと残念な感想になる。もちろん旅しながらお喋りするのは楽しいのだけどね。ただ、せっかく遠くまで来るのだからそこでしか出来ない体験に浸りたいじゃない。
一人旅では、ある風景に感動したらいつまでもそこにいられる。宿の主人と仲良くなったらもう一泊してみることもできる。ふとドライブ中に見かけた店に立ち寄ったりもできる。

稚内までのフライトはあっという間だ。
離陸して1時間半ほどしたところで、シートベルト着用サインが点灯する。

分厚い雲間を降下していくと、やがて小さな窓に牧歌的な北海道の牧草地帯が眼下に現れる。
牛がそこらの野原に放し飼いされてる風景は北海道に来たんだなぁという実感を深くする。

もう稚内へ そして宿探し

11:30稚内空港到着。
寒い。
ボーディングブリッジに降りたところで、もう肌寒さを感じた。
カーディガンを持ってきて正解だった!
※後日ネットで天気を調べたところ、この日の最高気温は横浜22℃、稚内20℃でさほど変わらなかった。それでも寒かったのは、オホーツク海から吹いてくる北風のせいかもしれない。

来てわかったけど、稚内空港はちょっとした市役所の建物みたいな作りだ。
着いたらなにか名産品でも買おうかと思っていたけど、そんなこぢんまりした建物だからそういうコーナーもないのでそそくさとバス乗り場へ。フェリーターミナルへはバスで30分ほど。空港周辺には何もないため、稚内駅へや市街地へ向かう人の多くが同じバスへ乗る。バスは普通の路線バス。よくある優先席が横になってるタイプ。スーツケースと望遠鏡を抱えて立ちっぱなしはいろいろ気をつかうね…スミマセン。

稚内周辺には稚内全日空ホテルという割と綺麗で大きなホテルが建っている。
たぶんそこに泊まるんだろうなと分かる会話を後ろの家族がしてる。
聞き耳を立ててると
「終点ホテルだから寝てても良いわよ」
とお母さんが子どもに声を掛けていた。
(港まで行かないのかこのバス…!)

バスで港まで直行しようと考えていたが、ひとまず駅で降りることに。
40分ぐらい揺られるとようやく稚内駅へ到着。
よ、40分ぐらいなんのその、小田急で鍛えられているさっ。
…地味に疲れていたのもあり、昼ご飯調達のため稚内駅前でバスを降りる。
駅舎に掲げてあります
日本最北端の駅に着きました。
最北端っていう単語がすでに物寂しい感じを出している。
郵便局でお金を下ろして手近なコンビニで昼食を調達。
見る物もないので足早に港へ向かう。港までは15分もかからない。

スーツケースをずるずるひきずって稚内港に着くと、気持ちいい海風が吹いていた。
フェリー乗車券
左が往路、右が復路。
よし、フェリー確保。
これでひとまず、今日中に礼文島に上陸できることは確定だ。やった。

さぁ今から出港まで2時間ある。宿を決めなければ。
あらかじめ印刷しておいた礼文島民宿リストの電話番号へ片っ端から電話する。
シルバーウィークということもあって、なかなか空室がない。
うーん。
お。3軒目でようやく空きありとの返答が…!
「一人旅をしている者ですが、今日っていきなりそちらに泊まることは可能ですか?」
「えっ??!! きこえない! 全然きこえ※▲☆◎♂…」
「今日空いてますか!?」
「泊まっていいよ」
かなり耳の遠いご主人のようで、少し不安に…
名前と連絡先を伝えて、香深港での迎えの車をお願いする。
ということで、宿確保完了。

《後日もらった名刺 画像》

民宿「夕凪」が今晩の宿です。
後で分かるけど、香深港から宿まで20kmあまり。結構広い島だなぁ。


宿が決まったところでフェリーターミナル併設のお土産物屋さんに行った。海鮮物、ロイズチョコレート、白い恋人を見つつも、明日の礼文島トレッキングに備えてペットボトルの水やカロリーメイトを買いだめした。
その後、港に出て船の入港をビデオに収めたりしているとあっという間に出港時間。

《フェリー 動画》
乗る予定の船が島からの客を乗せて入港してくる

でかい。青と赤のマークラインかっこいいな。
そして船旅ははじめてだ。わくわく。

フェリーのデッキより
デッキからの写真》
2等船室は簡単に言うと、お座敷だ。
廊下からちょっと上がったところが広いカーペット張りのスペースになっていて、礼文島までの2時間ほどをみな思い思いに過ごす。寝たり、トランプしたり、備え付けの小さなテレビを見たり。甲板に出てひたすら海を眺める人もいる。

いよいよかぁ。あの島に会えるのか。

礼文島上陸

《礼文島入港 動画》
これは3日目の朝に撮った物

礼文島では港でお客さんを「おかえりなさい」と出迎える。
家族のようにもてなすからそう言うのかな。
(帰る日になってそれだけの意味ではないことが分かる)

感慨深い。
潮の匂い。島を吹く風。 どこか懐かしい感じすらある。

港に降り立つと、民宿の迎えとおぼしき人が沢山いる。
ネットでも有名な桃岩荘の迎えの人達もいる。
きっとこの中にいるのかな。
ぐるっと見回すと「民宿夕凪」の文字が刺繍された前掛けを巻いているおじさんを発見。

「こんにちは~ さっき連絡したこや(※実際は本名)です」
「おおこやさんね。いらっしゃい、遠くからよく来てくれたね」
電話で聞いた声と違う。耳も遠くないみたいだ。
この運転手さんは宿の主人ではないようだ。
きっと送迎だけ頼まれている人なんだろう

あいのりのラブワゴンのような車に乗った。
車はしばらく東海岸をひたすら北上する。
運転手さんは気さくな人だった。
「何で礼文島に来たんだい?」
「昔、礼文島の写真を見たことがあってずっと心に残ってたんです。それで今年実際に来てみようと思いまして」
「おおそうかw」
「明日は8時間コースを歩こうと思ってます」
「8時間コースか。それならこの地図持って行くと良いよ」

そう言っておもむろに渡されました。

《礼文島地図 画像》

「あ、ありがとうございます」
「4時間コースの地図だけど、8時間コースの途中までは4時間コースと一緒だから」

20分くらいで今日の宿、民宿夕凪に到着。
僕を下ろすと車はまたどこかに消えていった。

宿の主人、梅田信雄さんとご対面。
これまた優しいまなざしが印象に残るおじいちゃんだった。
「はいいらっしゃい。これ部屋の鍵ね」
「ご飯は6時からだからね」
6時にご飯とは超健康的だw

泊まった部屋
部屋は和室7畳ほど。

浴室は1つのみでそれを共同で使う。浴槽は余裕で二人は入れる広さ。
でも客室は2階に数部屋しかないのでほぼ貸し切り。
1階部分はこのおじいちゃんが営んでいる商店のようだ。

あれこれ支度しているともう6時。
1階の食堂へ。

夕食
携帯で申し訳ない…
…ウニ!!!!
お夕飯にウニが出た!!
他にも、カニ、イカ、タコ、エビ、と海鮮づくし! たまらん。

ヘルパーと思しき若いお兄さんが
「お兄さんは何飲む?」
「お茶でお願いします」
なんでビールと言わなかったのか今でも謎だが、すぐに500mlペットのお茶を持ってお兄さんが奥からやってきた。

新鮮な地元のウニをご飯にのせ、ひとくちでほおばる。うまい。
味わっているとご主人がやってきた。
「ちょうど昨日がウニ漁の最終日だったんだよ」

なん…だと…?

「明日来てたら食べられなかったんですね!ウニ」

なんという幸運。
利尻礼文では昆布とウニの漁が盛んだ。利尻昆布は僕の地元でもよく見かける。
でもウニはめったに食えないよウニは。
我が家では母親が苦手ということもあってまず食卓に出てこないw

食堂備え付けのテレビでNHKを見ながら箸を進めていると、外からざーっと音がし始める。
暴風雨。雷。

島で見える雷は、音が尋常でない。
周りは海だから、この島のどこかに直撃している。
そのせいで、たまに聞いたことのない音量で雷鳴が轟く。

食堂の窓を眺めながら
「明日晴れると良いけどねぇ」
と漏らす主人の梅田さん。

僕の隣にいた50代くらいのご夫婦も明日4時間コースを歩くらしく、奥さんの方は不安そうな顔をしていた。

たしかに雨の中8時間歩き通しは厳しいなぁ。
そんなことを思いつつ、ごちそうさまでした。
旅疲れがたまったのか、風呂に入って早く寝たい。
夜型人間なので日頃は2時3時平気で起きていられるのだけど今日は眠くてしょうがない。

民宿「夕凪」のお風呂は1つしかないのだが、部屋単位で貸し切りなのと時間が時間だったこともあって幸い空いていた。緑色の入浴剤が溶かされた湯船は、肩まで浸かるほどの温かいお湯に満たされている。目を閉じて旅の疲れを癒す。今朝、自分が神奈川の家にいたことが信じられない。16才の時から憧れていた島に今、来ている。実感はまだ湧いていなかった。天井近くに設けられた短冊状の窓が外の闇を切り取る。そこがたまにぱぁっと明るくなる。

風の止まない島に来たのだ。

いつもより長めの風呂のあと部屋に戻り、明日のトレッキング装備を確認。
テレビも特に見ないで、布団で就寝。
23時。
1日目の道のり

2日目は4月公開予定です。